【作品解説】クールベ「オルナンの食休み」
時代は古代ギリシア・ローマを理想の美とする新古典主義と
美の多様性を追求するロマン主義が対立する中、
クールベはそのどちらでもない「レアリスト」(写実主義者)を名乗りました。
「自分の見たものしか描かない」とし、見たことのない英雄ではなく、
故郷の村人の生活を大画面に歴史画として描きました。
名もない村人を理想化することもなくそのまま、
歴史画として描くことは当時はスキャンダラスなことでした。
1855年のパリ万博では、
新古典主義のアングルとロマン主義のドラクロワの頂上決戦が行われる中、
万博美術展への出展を却下されたクールベは
その会場の向かいに小屋を建て陣取って、
世界初とされる「個展」にて自身の作品を披露しました。
この「オルナンの食休み」は故郷オルナンの生活を描いた初期の作品で、
アングルとドラクロワに評価され、それがもとで国家に買い上げられました。